責任者メッセージ

精神科の訪問看護とは、精神疾患をお持ちの方やこころのケアを必要としている方のご自宅や入居施設に看護師が直接うかがい、健康状態のチェックや服薬の管理といったケアサービスを提供するというものです。私たち看護師は利用者さまのさまざまな相談に乗りながら、専門的な知識を持った精神科のプロフェッショナルとして、トータルでサポートを行います。
精神科の訪問看護については、まだよくご存知ない方も多くいらっしゃいます。在宅イコール高齢者向けのサービスだと思っている方や、何をしてもらえるのか分からないという方も少なくありませんが、利用者さまの健康状態の観察や服薬管理といった基本的なケア以外にも、幅広いサポートを提供していることを知っていただきたいと思っています。
「薬が毎日きちんと飲めない」「薬の副作用で困っている」といったお悩みを抱えた利用者さまの服薬管理のお手伝いをすることもあれば、「部屋の掃除や片づけができない」「生活リズムが崩れてつらい」などの日常生活のご相談に乗ることもあります。話し相手がいるだけで寂しさや不安、ストレスが軽減されるという方も多く、世間話などを交えつつお話を聴かせて頂き、そのなかでお困りごとへの対処法を一緒に考えて実践できるようにサポートしています。また、利用者さまだけでなく、ご家族がお悩みを抱えている場合には、ご家族のご相談にも乗ります。このように、利用者さまが安心した生活を送れるように、さまざまな点からトータルでサポートするのが精神科の訪問看護です。

私たちは利用者さまが安心して日常生活を送れるようにケアサービスを提供しますが、お手伝いをすることだけが目的ではありません。さまざまなご相談に乗りながらも、利用者さまの社会復帰や自立に向けて一緒に試行錯誤を繰り返し、いつかは訪問看護から「卒業」していただくことが私たちの一番の目標となります。
以前は、精神疾患の治療といえば精神科病棟への入院をイメージする方も多かったと思います。ですが今では社会全体の傾向として、できるだけ入院することなく、在宅で医療を受けながら地域で生活を送ろうという流れに変わってきています。
入院はあくまでも治療の場であり、訪問看護は生活の場です。ふたつはまったくの別物なので、訪問看護は入院の代わりになるものではありませんが、ひとたび入院となれば利用者さまの生活環境は大きく変わってしまい、ある程度制限された状態で治療にあたることになります。入院するということは、利用者さまにとって不安や負担が大きいことは言うまでもありません。
一方、訪問看護は入院のように一日中利用者さまの様子を確認することはできないものの、利用者さまの慣れ親しんだ生活の場を通じて看護を行うことができます。多くの利用者さまにとってはご自宅の方が心理的負担の少ない安心できる環境ですし、生活に即した形で支援ができるのは、私たち看護師としても意義のあることだと信じています。

精神科の訪問看護はまだあまり知られていないため、「こんなことを相談してもいいのだろうか」と悩まれる方も多くいらっしゃいます。ですが、症状の悩みだけではなく、どんなことでも（それが看護と直接関係の無いことであっても）相談していただいて構いません。私たちは、何でも相談していただける、どんなに些細なことでも気軽に頼っていただける看護師でありたいと常々考えています。
「来てくれるとほっとする。話すと楽になる」「少しだけ勇気がでた」等と、訪問看護により前向きな気持ちになれるという利用者さんご自身からお言葉をいただいたり、あるいはご家族や主治医、相談員など関係者の皆さまから「訪問看護のおかげで助かりました」と仰っていただき、地域の一員として頼りにされていると思えることが、何より励みになっています。
マイナビナースケアの訪問看護ステーションは着々と拠点を増やしており、サービスを提供できるエリアも順次拡大しています。慣れ親しんだ生活の場で安心して暮らせる方が少しでも増えるように、「頼られる看護師」として利用者さまのサポートを続けていきたいと思っています。